東大生の傾向から知る 子どもを勉強好きにする方法 〜日常を学習につなげる〜
2019.12.23
お子さんがいわゆる「勉強のできる子」になるためには、どんなことをしたら良いと思いますか?
小さい頃から早期教育を行う、勉強をたくさんする、遊ぶよりも勉強第一…こんなイメージでしょうか。
日本で勉強が得意な人が集まる大学といえば、東京大学。
東大生の子ども時代は、遊ぶよりも勉強、1日に何時間も勉強していたのでしょうか。
答えはNOです。
中には何時間も勉強をしていた子もいるようですが、中学受験を経験していない層は、1時間未満の子が多くいたのです。
では東大生に共通していたのは、どんなことだったのでしょうか。
1.東大生に共通する3つの力
東大生に共通する3つの力は「学習で結果を出すために必要な力」とも言え「子どもの伸びる力」となります。
上記が東大生に共通する3つの力です。
・探求する力
探求する力とは、興味を持ったら、調べてのめりこむ探求心があるかどうかです。
小さい頃にトミカが大好きでトミカがたくさん載った本をひたすら読んでいたり、恐竜が好きで恐竜図鑑で〇〇サウルスをたくさん調べたり…。
新たな発見があると、もっと調べたくなる。その経験がまた新たな探求心を産みます。
・信頼する力
次に信頼する力。これは「素直かどうか」ということです。
伸びる子に共通しているのは素直であること。人の話を聞いて「やってみよう!」と思う子どもは伸びます。
「でもさ。だってさ。」とやらない場合は伸びないですよね。
素直さの土台にあるのは、親子の信頼関係。信頼関係があってこそ、親の言葉を子どもは素直に聞くことができるのです。
・自分で進む力
最後に自分で進む力。これは「やれば絶対できる」と無条件に自分を信じる力。
根拠のない自信、と言われるものですね。
我が家の長男は、この根拠のない自信が小さい頃からある子でした。
幼児教室の先生からも「彼の『自分はやれば絶対できる』という自信はつけようと頑張っても、すぐにつくものではない。このまま根拠のない自信を持ち続けてほしい。自分で自分を信じてあげられる力は強い。」と言われていました。
この力は、小さな成功体験の積み重ねによってつく力で、難しい問題に直面した時に、諦めずに前に進む力になります。
2.3つの力を伸ばすために親ができること
では、これらの3つの力を伸ばすためにどのように子供とかかわっていけばよいでしょうか。ポイントは以下の3点です。
- 子どもの好きなことに親も興味を持つ。
- 子どもに対しての先入観を捨てる。
- 勉強時間と遊びの時間を区別しない。
・子どもの好きなことに親も興味を持つ
子どもの好きなことに親も興味を持つには、どうしたらよいか…
まずは子どもをよく観察することです。
といっても常にじっと見ているという意味ではありません。
では、どんなところを観察すればよいのでしょうか。
それは『子どもが楽しそうにしている時間』です。
子どもの興味のある分野を知ることで、興味を持ちやすい学習の方向に気づくことができます。
我が家の場合は、テレビを見ている時に「宇宙」という言葉が出るとジッと見ていたり、街中にある漢字を一生懸命よんでいたり…。
子どもが何に興味を持っているかを知ることで、学習につながるヒントが得られるのです。
また、親子で同じことに興味を持つことで親子のつながりを深め、結果的に親への信頼を高めることができます。
・子どもに対しての先入観を捨てる
次に、子どもに対しての先入観を捨てること。
外でママ友にあった時などに「うちの子は〇〇だからさ~。」なんて話すことありませんか?
お母さんとしては深い意味はなく話していると思いますが、実は先入観を持つ=子どもを枠にはめる、ということです。
人間は「この子はこういう子」という枠にはめて見ると、その枠にはまった子どもの姿しか目に入らなくなりがちです。
これでは、子どもを伸ばすチャンスを失うことになってしまいます。
こんなことを書いている私ですが、やはり子どものことを先入観込みで見てしまうことも多くあります。先日もそうでした。
長男の小学校でマラソン大会があり、学年・男女で分かれて走り上位10位までに入ると表彰されるとのことでしたが、私は「この子は体力ないし、無事に完走してくれれば良いかな」なんて思っていました。
結果は1年生男子100人弱の中で、見事10位!
「表彰されたよ~」と嬉しそうに賞状をもらって帰ってきました。
思えば「表彰されたらどうしよう~。みんなの前に出るの緊張しちゃう~」なんてマラソン大会の前日は言っていましたが、長男の頭の中には「マラソンを走り終え表彰されている自分」が見えていたのだろうと思います。
3つの力で述べたうちの1つ「やれば絶対できる」という自信もこの結果につながる要因だったのかな、と感じています。
・勉強と遊びの時間を区別しない
最後に、勉強と遊びの時間を区別しないこと。
勉強と遊びは別物だと考えるお母さんは多いと思います。
ですが、考え方を変えると、勉強も遊びも同じフィールドにあると考えることができます。
一般的な勉強をしている子どものイメージはこんな感じでしょうか。
本を読んだり、机に向かってカリカリと勉強する…これが親が考えがちな学習のイメージです。
では、伸びる子どもが行っている学習は、どうでしょうか。
図にするとこんな感じです。
例えばブロック遊びは、一見学習にはつながらないように思えます。
しかし頭の中で考えたように実際に組み立てる行為は、空間認識能力を鍛えることができます。
算数の図形問題につながりますね。
また子どもがゲームにのめりこんでいると親としては心配になります。
ですが、これも見方を変えると学習につなげることができます。
ゲームに登場するモンスターを何百種類も覚え、それぞれの特徴を把握し、分類。
どれとどれが相性が良いか悪いかなどを考えながらゲームを進めていくことは、理科の植物や動物の分類につながります。
このように、親から見ると遊んでいるように見えていても、考え方1つで遊びの時間が勉強の時間になるのです。
しかし、うまく学習につなげるためには親の働きかけが必要です。
我が家ではテレビで見た動物などをよく図鑑で調べたりします。
子どもがどっきり映像などを見ていて出てきた動物に関して、こんな会話をします。
私「 この動物って、ジャンプ力すごいよね。どのくらい飛ぶのかな。何を食べていたらこんなに飛べるのかな? 」
長男「 そうだね~。何食べてるんだろう。いっぱい飛ぶにはパワーがいるからお肉かな? 」
私「お肉か~。肉食なのかな?合っているか図鑑で調べてみようか。」
長男「うん。」~調べ中~
「わかったよ!〇〇の仲間で□□を食べるんだって!」
このように、日常のちょっとしたことから、学習につながるように誘導してあげると、子どもは「勉強」と思わずにいろいろ学習するようになります。
すぐに手に取れる場所に、図鑑や地球儀などを置いておくと良いですね。
3.子どもの日常を学習につなげる方法
先程述べた「勉強と遊びの時間を区別しない」という項目で、お気づきの方も多いと思いますが、子どもの日常を学習につなげるには親の働きかけが必要です。
何をしている時でも「これは何かの学びにつながらないかな…?」と考えながら子どもと接するようにするのです。
難しいと思いますか?
そんなことはありません。
なぜなら親が答えを知っている必要はないからです。
子どもと一緒に調べたり考えたりすれば良いのです。
我が家では、こんなふうに日常の会話から学習につながるように声掛けしています。
これは自衛隊のヘリコプターが何機も飛んでいるのを見た時。
次男が「ママ~ヘリコプターいっぱい!」と教えてくれました。
ただ見ているだけでは学習につながりませんが、ここで一言。
「いっぱいいるね。全部で何機いるかな。一緒に数えてみようか。」
こう声をかけることで、数の概念につながります。
これは恐竜のフィギュアを並べて遊んでいる時。
「恐竜が、こっちの恐竜を食べてるの」と次男が言いました。そこで一言。
「そうなんだ。食べている恐竜はお肉を食べるんだね。肉食恐竜か。強い恐竜が勝って、負けちゃった恐竜を食べてるのかな。弱肉強食っていうやつだね。」
小さい子どもには難しい言葉だと思いますが、日常生活で四字熟語などが出てくると耳が慣れてきます。
実際に勉強として学ぶ際に、抵抗なく頭に入ってきます。
こんな一場面でも、国語と理科(生物)の学習につながるんですね。
ある時は、空気清浄機のでビニール袋を飛ばして遊んでいました。
子どもはただ面白かったからやっていたのだと思いますが、これは理科の学習につながる!と私は判断しました。
「風の勢いが良くわかるね。風は目には見えないけど、ビニール袋の動きで風の強さがわかるね。」と伝えました。
次男が理解したかは不明ですが、その後も空気清浄機の風の強さを変えて、ビニール袋の動きが変わるのを楽しんでいました。
外で飛行機雲を見つければ「見て~飛行機雲だね。雲にはいろんな名前がついてるんだよ」と次男に伝え、「知ってる?雲の形で次の日の天気がわかったりするんだよ。」と長男には伝えます。
私自身も、特に雲の名前に詳しくはないですし、雲の形でいつも翌日の天気を予想しているわけではありません。
子どもたちが興味を持ちそうだったら、図書館で本を借りたり、一緒にネットで調べたりして、一緒に学びます。
『楽しく親子一緒に学ぶ』これが大切だと感じています。
また、興味を持ったり調べたりした後は実物を見に行くのもおすすめです。
動物を調べたら動物園や水族館へ、植物を調べたら植物園へ、恐竜を調べたら博物館や恐竜展へ、ある現象について調べたら科学館へ…など。
人間は図鑑などで調べたことを実際に見たり体験すると、記憶がより強固になります。
ぜひお子さんと一緒に行ってみて下さい。
我が家は、私も主人も動物園や水族館、博物館や展覧会などが好きで長男が小さい頃からいろいろなところに連れていきました。
ある時は、私が行きたかったのもありますが、上野の博物館で何年か前に行われていた「人体展」にも子どもたちを連れていきました。
ちょうどその頃、子どもが身体の中には内臓っていうものがあって、いろいろな働きをしているらしい…と知って、身体の仕組みの本などを読んでほしいと言っていたからです。
子どもの興味はいろいろと移り変わるので、その時その時の旬を逃さないことも必要です。
ただ、1つ注意したいポイントがあります。
それは「決して無理強いはしないこと」です。
親が一生懸命、学習につながるように種まきをしても、子どもが興味をなかなか持ってくれない…ということは多々あります。
そんな時に「ねえ!なんでやらないの?」「絶対面白いから調べてみなよ!」と強制するのは、子どものやる気を削いでしまいます。
『楽しく』なければ、やる意味がありません。
4.上手に失敗させよう
ここまでくればあともう少し。
日常を学習につなげる時に、注意したいポイントが後1つだけあります。
それが「上手に失敗させる」ことです。
親はなるべく失敗させないようにしがちですが、失敗はしても良いんです。
失敗をした後の対応にポイントがあります。
お子さんが何かを失敗した際、皆さんはどのように対応しますか?
一番やってほしくないのは「失敗したことを叱る」ことです。
失敗したことを叱られると、子どもが感じるのは「失敗してしまった残念な気持ち+叱られて嫌な気持ち」です。
それでは子どもは何が悪かったのか、どう修正したらよいのかを理解できません。子どもの伸びる力をつぶしてしまいます。
では「失敗しないように先回りする」のはどうでしょうか。
こちらもいまいち。
なぜなら、失敗をしない子どもは自分で対応する力が身につかないからです。
子どもが間違えないように、親が先回りして教えると最初はできるようになっても、自分で考える力が育たず、途中で失速します。
最も良いのは「失敗の原因を子どもと一緒に考える」ことです。
問題を考えている時に答えをすぐ教えてもらうのと、自分で答えを導き出せるようにヒントをもらって解けた時だと、どちらが嬉しいでしょうか。
自分で答えを導き出せるほうが、心地よさを感じると思います。
子どもも同じです。
常に子どもが自分で答えを導き出せるように誘導していると、子どもも最終的には自分で解く、という状態が普通になります。
わからないままでいることを嫌がるのです。
その感覚が、困難に打ち勝ち、伸び続けていく原動力になるのです。
子どもが失敗したときはまず、できた点に注目し、子どもと一緒に失敗の原因を探ります。どうすれば改善できるかを一緒に考えましょう。
「この問題、この間やった〇〇の問題と一緒じゃない?」とか「もう一度計算してみたらどうかな?」など、直接的な答えではなく、答えを導くためのヒントを出して、子どもに「自力で解けた!」と実感してもらうことが大切です。
子どもの日常を学習につなげる方法を、我が家の実例を交えてまとめました。
親の見方1つで、子どもの1日が全部学習の時間に変わると思うと、親も楽しくなってきませんか?
親子で楽しく、毎日学習しましょう!
我が家もまだまだ、学習の種を撒き続けていきます。
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